トップインタビュー
Top Interview
私たちは「日本一の街の日本一の鉄道」を
目指しています
取締役社長
渡邊 功
事業について
Q1. 2019年の鉄道事業分社化の意図は何でしょうか?
お客さまのニーズにスピーディーに対応するため
東急と東急電鉄の分社化の趣旨は、当社が鉄道専業の会社になることで、「鉄道事業をよりスピーディーに、より強くしていく」ことにあります。
2020年の1年間は特に社会環境の変化が激しいものがありましたが、それ以前からも社会環境の変化は激しく、私たちは経営や技術革新などさまざまな面でスピーディーな対応が求められています。例えば、近年、どこの鉄道会社でもホームからの転落や電車との接触事故を防止するホームドアの設置を利用者から要望されています。日本は高齢化がますます進みつつありますが、健康寿命は外出することで伸びるといいます。ホームドアの設置や踏切の三次元検知装置の導入などにより、高齢者や体の不自由な方々が安心して外出できる鉄道にしたいと、私たちは考えています。そのための具体的な対策として、当社は、ホームドアや踏切の三次元検知装置、車両の防犯カメラなど、それぞれの機器の設置率において日本一を自負しています。
お客さまのニーズへの対応は他社よりも迅速なつもりでいますが、鉄道事業を取り巻く環境の変化は非常に早く、大組織ではどうしても対応が遅れがちです。分社化によって鉄道の専業会社になることで、「鉄道のプロ」として人材力や技術力をさらに高め、よりお客さまに近く、より現場に近く、スピーディーな経営を行うことができると判断し、分社化しました。
Q2. 首都圏の鉄道業界の現状と、その中で東急電鉄の強みは?
成長しつづける中での課題への対策と、
サービス向上を目指して
日本の鉄道は「成熟産業」と呼ばれることもありますが、海外に目を向ければ日本よりも先端の技術を導入している国もあります。当社は日本初のオールステンレスカーの導入やSTRUM工法による線路切替工事など、常に業界のトップランナーとしての取り組みを実践してきました。安定と言われた鉄道業界にも逆風が吹いている厳しい情勢ではありますが、だからこそチャンスでもあり、変革の機会でもあります。 デジタル技術等を積極的に取り込んでいくことで、いまを見直し着実な変革を成し遂げていくとともに、さらに安心して皆さまにご利用いただける鉄道にしていきます。
私たちは「日本一住みたい沿線 東急沿線」を標ぼうし、東急グループ各社や各自治体との連携を進めています。例えば、図書館と直結した駅への改修、駅の近くに保育所を設ける取り組みなどです。
沿線にお住まいのお客さまは所得や文化面などの水準が比較的高く、当社に求める要求も高くなっています。これからも変わらず「選ばれる沿線」であり続けるため、世の中のニーズを的確に捉え、応え続けていきます。
特に、サービス水準の向上には継続して取り組みを進めますが、運転士・車掌・駅係員などお客さまに接する仕事をしている社員は、ほぼ全員が高齢者や体の不自由な方を援助する「サービス介助士」の資格を取得しています。実は私もこの資格を持っているんですよ(笑)。
Q3. 今後、東急電鉄をどのような会社にしたいとお考えですか?
そのために必要な事や具体的な取り組みを教えてください。
社員みんなが前を向き、“幸せな未来”を語れる会社に
当社は、2019年に「人へ、街へ、未来へ。」というスローガンを新たに作りました。東海道新幹線の新横浜駅に当社の電車が乗り入れる東急新横浜線の開通はもう秒読みの段階にきています。またその後も、当社の沿線から羽田空港へのアクセスを改善する新空港線を計画しています。このように、当社は「未来を見据えて成長を語ることができる会社」です。
この恵まれた環境の中で、社員の皆さんが前を向き、明るく楽しく仕事に励むことができるよう、私は、この会社の社長として最大限のサポートをしていこうと思っています。
鉄道は社会におけるインフラですから、サービスの停滞は許されません。
世間では「電車は365日動いていて当たり前」と思われていますが、実際に日々の運行を支えている人たちの苦労は大変なものです。電車が走っていない終電から初電の間にも線路や電線の保守・補修を行っている社員がおり、文字通り24時間、誰かが仕事をしています。
そうした仕事に従事する社員の皆さんの負担を少しでも軽減するため、新しい技術や設備をできるだけ早くそして数多く採り入れていきますが、こうした会社の姿勢は、これから当社に入社しようと考えてくれている学生の皆さん、そして既に当社で活躍している社員の皆さんにとっての希望となり、また、その期待に応えることにもつながっていると確信しています。
人材論
Q4. 入社後、どのような資質の人が成長しますか?
社会人になっても学び続ける姿勢を
社員の成長には、本人の「学ぶ姿勢」と、会社や職場が用意する「学びの場」の両方が必要です。まず本人の面から言うと、学生時代は数年間で終わりますが、学びは一生続きます。現在の鉄道の安全は過去の積み重ねの成果であり、先人に学ぶことが必要です。そのうえで自分の仕事について、「なぜだろう? どうするべきだろう?」と常に考えなければ、進歩はありません。
それから、経験は役に立ちます。そういう意味で、人事異動は大切です。私は以前、東急沿線のケーブルテレビ会社イッツコムの社長を務めていました。ケーブルテレビやインターネットのサービスは鉄道と同じく、24時間365日、裏方として社会を支える仕事なのでずいぶん苦労しましたが、鉄道会社の社長になった今、その時の苦労がとても生きていると実感しています。
一方で、会社が用意する「学びの場」について言えば、社員が学び・育つための環境づくりは重要です。私は当社社長に就任するにあたり、“人材力の向上”に力を入れることを宣言しましたが、その具体的な取り組みとして、現在、元住吉にある研修施設を、教育と安全の両面から学ぶための場とするための施設として大きく生まれ変わらせる計画を進めており、2021年秋には竣工する予定です。
また、新人だけでなく若手・中堅・ベテランいずれの層においても、“良い先輩”がいれば、その人から学ぶことはとても多くあります。そういった観点から、新人教育からはじまり、部門横断型の研修、そして管理職研修に至るまで、各階層の教育にも力を入れて取り組んでいきます。
Q5. これから入社する若者に、何を期待されますか?
世界に誇れる日本の鉄道の一翼を担っている
使命感・責任感を
2019年10月、東急と東急電鉄は分社化を行いましたが、「鉄道」と「街づくり」と「沿線の住民の生活」は、東急グループとして、これからも一つのものと考えていきます。それから、日本の鉄道をグローバルな視点で見て、「世界に誇れる日本の鉄道の良さ」を再認識し、日本の社会を支える使命や責任感を新たにして欲しいと思っています。
安定と言われた鉄道業界ですが、誰も予想出来なかった社会のあり方、生活様式の変化の渦中に見舞われているという状況です。その一方で鉄道は環境に優しい交通機関として注目されていることも事実であり、エッセンシャルワーカーとして世の中に不可欠だということも再認識いただけたかと思っています。
環境に優しい交通機関として注目されている鉄道ですが、当社では、100パーセント再生可能エネルギーで運行している世田谷線、建物の環境性能を評価するLEED認証を取得した田園都市線の南町田グランベリーパーク駅など、エコの面でも先進的な取り組みをいくつも推進しています。
私たちのスローガン「人へ、街へ、未来へ。」は、「笑顔をつなぎ、幸せを運ぶ」「日本一の街の日本一の鉄道」「強く、優しく、しなやかに、未来へ」という三つの要素によって実現していきます。
せっかく沿線が“日本一”を標ぼうする街なのだから、鉄道も日本一を目指したい。
そのために、私たちは、強く、優しく、柔軟な感性を持ってイノベーションに取り組み、未来に向けてチャレンジしていくのです。
コロナ禍は、安定と言われた鉄道事業にも大きな影響と変化をもたらしました。最も大きな変化は、コロナ終息後も減少した鉄道の利用者数は以前の状況には戻らないと予想されることです。こうした中にあっても当社の使命は、お客さまから信頼される「安全・安心の鉄道会社であり続けこと」に変わりはありません。
今後は、さまざまなDX(デジタル技術)を取り込みながら、事業運営の高度化にはじまり、社員一人ひとりが様々な施策を通して事業構造の変革を成し遂げなければなりません。そして将来にわたり新しい生活様式にあった、サステナブル(持続可能)な鉄道サービスを提供し続ける会社を目指して行きたいと考えます。
この文章をお読みいただいている、若い感性をお持ちの学生の皆さん!
これからの明るい未来に向けて当社がさらなる前進を続けて行くため、ぜひ、私たちと一緒に頑張っていきましょう!心からお待ちしています!
渡邊社長に聞く10問10答
Questions & Answers
-
入社年
1979年
-
出身学部・学科
工学部 都市工学科
-
出身地
岡山県
-
東急電鉄を一言でいうと
日本一の街の日本一の鉄道
-
自分の性格
多面的
-
趣味
乗り鉄
-
好きな本
池井戸潤氏の小説
-
好きな音楽・映画
音楽は南町田グランベリーパークのテーマソング、映画は『男はつらいよ』
-
3カ月休暇が取れたら
船旅か勉強
-
応募者の皆さまへ
「天」。天は裏方の仕事も見ています。