人と仕事

車両の仕事:車両(工場)の仕事

東急線1300両の安全を守る

電車の点検整備には、設備の整った車両工場でなければできない「重要部検査」と「全般検査」と呼ばれる定期検査があります。重要部検査とは、4年に1度、もしくは走行距離60万キロに1度行う検査で、ブレーキやモーターなどを取り外して行います。
全般検査のほうは、8年に一度行う大掛かりな検査で、車体や台車、車輪、ブレーキ、モーター、バッテリーなどを分離して、細部にわたり点検整備を行っていきます。このうち私が担当しているのは、車輪やブレーキ、サスペンションの役割を果たす装置などがついている台車と連結装置です。
長津田車両工場は、東急線全線で運行している車両およそ1300両すべての定期検査を担当しており、年間検査数は約300両に達します。1編成の検査工程は8日~12日ほどになるので、検査は複数車両を同時並行で進めていくことになります。しかも、1両あたりの検査項目は50箇所以上あり、不具合が見つかれば、当然ながら修理・交換を行いますし、不具合がなくても洗浄後、油をさすなどのメンテナンスを施して、各種装置をリフレッシュさせる必要があります。効率よく作業を進めなければ、限られた時間内ですべての点検整備を終えることはできません。一方、電車の安全にかかわる作業でもあるため、慎重さも不可欠です。入社後しばらくの間は、このバランスがよく分からず、必要以上に慎重になりすぎて先輩の足を引っ張っていました。現在も実力はまだまだつけなければならない段階ですが、鉄道の安全で安心な輸送の屋台骨を担う誇りを胸に、一歩ずつ着実に技能を磨いていきたいと思っています。

体で覚えるしかない仕事

電車は、その大きさに似合わず、実は繊細な機械です。たとえば、台車には路面から伝わる振動をバネの収縮によって軽減し乗り心地をよくする装置がついています。このバネがゆるすぎず、キツすぎもせずスムーズに可動しないと路面の振動が車内に伝わりすぎてしまい、とても乗っていることなどできなくなります。このスムーズさを確保するには、ミリ単位の調整が必要になります。モーターから車輪へ動力を伝える軸と車輪軸がうまくかみ合っていないと軸が折れる危険性がありますが、その調整はコンマ1ミリ単位という細かさです。
また、図面だけでは読み取れない感覚も重要です。ネジやボルトがしっかりしまっているかどうかを確認するときは点検ハンマーで叩いて音と跳ね返りを見ます。言葉で上手に説明するのは難しいのですが、装置にもメーカーによって、または車体によって個性のようなものがあり、最適な整備を行うには、指先から伝わる感触のようなものが意味を持つ場合もあります。油のさし方ひとつとっても、コツがあったりするのです。こういったものは、口で教えられて分かるものではありません。「体で覚えろ」という言葉があるとおり、先輩が行っている作業を目で見て、耳で聴いて、感覚を研ぎ澄まして感じるしかありません。そこが、この仕事の難しさであり、奥深さなのだと思います。

コラム/私を変えたあのひと言

「悩んでいる暇があったら行動しろ」

学生時代に親友から言われました。どんな場面で言われたのかは定かではありませんが、心に深く刺さったことだけは記憶しています。以前、鳥人間コンテスト出場を目指して奮闘していた頃、思うような飛距離が出ず壁に突き当たったとき、なかなか内定が決まらず落ち込み、次に何を目指すべきか悩んでいたとき、いつも、この言葉が自分を励ましてくれました。ありふれた言葉ですが、ありふれているだけの理由と説得力のある言葉だとも感じています。就職活動をしていると、悩むこと、落ち込むことがあると思います。そんなときは、どんなに足が重く感じようとも、一歩踏み出してください。きっと道は拓けると思います。

プロフィール

運転車両部 長津田整備区

飯沼 健太郎

子供の頃は、飛行機が好きで航空業界を目指し航空宇宙学科を選択。学生時代は、人力飛行機研究のチームに所属し、鳥人間コンテストにも参加した。しかし、航空業界の夢は破れ、陸上でもっとも関心の高かった鉄道業界を志し、東急電鉄の門を叩いた。

キャリアパス

2013年
蒲田駅
2013年
現職

1日の流れ

車両の台車部分のネジを締める
重量物を移動するときは天井クレーンを使用。操作するには資格がいる
その日の作業内容と進捗状況について同僚と打ち合わせ
事務所に戻ってからメールを確認し、作業報告書をまとめる

My Item

点検ハンマーほか工具類

「ボルトが一つ、きちんと締まっていないだけで、どんなトラブルに発展するか分からない……」。お客さまの安全を守るためには、中途半端な作業は許されない。ボルトを締めた後は、必ず点検ハンマーで叩いたときの音や跳ね返りで、緩んでいないか確認する。

私の職場

オフ

休日はできるだけ外出し、心身ともにリフレッシュしています。春~秋は野球観戦、秋~春は旅行や観光に多く出かけます。毎年、年末には学生時代の友人と旅行に行っています。
写真は2014年に草津に旅行した時の写真です。

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