人と仕事

車両の仕事:車両(検車)の仕事

運行前後の電車に異常がないか調べる

およそ306万人――この数字は、東急線を1日にご利用いただいているお客さまの数です。これほど多くのお客さまを日々目的地まで安全に送り届けているという事実を意識するほど、自分の仕事の重みをズシリと感じずにはいられません。その仕事とは、運行前と運行後の電車に異常がないかを調べる出庫・入庫検査と営業中の電車に故障などトラブルが発生したときの即時対応業務です。
電車を運行するにあたって安全性の確保は最重要課題ですから、何段階にも及ぶ検査体制を敷いています。毎日行う出庫・入庫検査のほかに、10日毎に行う「列車検査」、45日毎に行う「臨時検査」、3カ月に一度行う「月検査」、そして4年・8年に一度実施する「定期検査」では、車両工場に入場して車体や車輪のついている台車部分、動力部など電車の各部を分離して細部まで徹底的にメンテナンスを行っています。
検査ごとに、検査項目は厳格に決められていて、たとえば列車検査では、実際に電源を入れて、ブレーキ、車内放送装置、行き先表示板、乗降用扉などの機器類が正常に可動するか確かめるとともに、車両の外周を目視によって確認していきます。車輪部分に異常がないか、機器類のカバーを固定しているネジが緩んでいなかなどを見ていくわけです。時間にすればわずか30分ほどでしかありません。しかし、「一つも見逃すまい」と神経を研ぎ澄ましている分、疲労感もかなりのものがあります。それでも、私たちが日々行っている検査の一つひとつが、お客さまの安全と信頼に直結していると思えば、「やって当たり前」の仕事だと思うのです。

貪欲に知識と経験を吸収する

「何かモーター音が違うな」
先輩は、こう言って異常が発生している箇所を難なく特定し、すぐさま対処してしまいました。私には、まったく聞き分けられないような、わずかな違いでしかなかったのにです。
このように、検査とその対処は、「知識」と「経験」がものをいいます。電車や機器類の構造を細部まで理解したうえで、正常なときの形、動き、音などを記憶していきます。日々の検査では、その記憶と目の前の電車との齟齬を徹底的に洗い出していくことになります。「いつもと違う」ところを見つけ、何が違うのか確かめることで、異常の原因と対応策を探り出していくわけです。突発的な故障に迅速に対応する場合も同様です。さまざまな故障の事例とその対応策の中から最適なものをどれだけ素早く選択できるかが重要になります。
私には、この知識と経験が、まだまだ不足しています。入社1年目と3年目に車両の知識に関する研修があり、入社後しばらくは、先輩がマンツーマンで技術指導してくれます。個人的にも車両の配線図や各種資料などで勉強を続けていますが、それでも「もっと」という思いが消えることはありません。現在、車庫内での運転が行える限定免許を取得しておりますが、最近では、運転士として営業線を運転する経験も検査や整備に活かせるのではないかと考え、営業線の運転を行える資格の取得を目指しています。車両の設計業務にも携わりたいという希望もあります。すべては、車両に携わる技術者としてひと回りもふた回りも成長するためです。そして、電車の安全な運行に少しでも役に立てる存在になりたいからでもあります。

コラム/私を変えたあのひと言

「職場を一つに!」

2013年3月、東横線と副都心線の相互直通運転(相直)がスタートしました。この日を迎えるために、東急電鉄ではさまざまな部署で、大勢の社員たちが相直の無事成功を目指して奮闘していました。当時、元住吉検車区に所属していた私も、その一人です。車両の大掛かりな改造や機器の更新が必要だったため、車両検査班の一員として制御システムの改修や改造車の受け取り業務に携わりました。それはもう、貴重な体験の連続です。そうそう経験できないビッグプロジェクトだけに、とても濃密な日々で、一段も二段も知識を深められたと感じています。何より、大きな目標に向かって大勢の社員が一丸になる熱気を肌で感じられたことが、これからの財産になると確信しています。

プロフィール

運転車両部 長津田検車区

北村 和浩

地元は埼玉県だが、就職活動時、さまざまな企業研究をしていく中で、多くの路線と相互乗り入れを積極的に実施している東急電鉄に、「首都圏の交通インフラを支える使命感の強さ」を感じた。そのときの印象は、入社後も変わってはいない。

キャリアパス

2008年
蒲田駅
2008年
長津田車両工場
2010年
元住吉検車区
2014年
東急教習所
2014年
現職

1日の流れ

1日の業務内容を確認するため、ミーティングは毎日行います。
出庫検査。乗降用扉を何度も開け閉めして異常がないか確認。
何気なく歩いているように見えても、視線は異常を見逃しません。
長津田検車区の場合、大井町線の出入庫は、列車検査班が操車します。

My Item

腰道具

検査へ出るときは、必ず腰に腰袋を装着して愛用の道具を差す。主だった道具は、各種ドライバーやペンチ、モンキースパナ、ニッパーなど。それから車体の裏側といった暗い場所を見るときに欠かせない懐中電灯も忘れてはいけない。

私の職場

オフ

2015年1月、友人と群馬県の川場スキー場でのスノーボード初滑り。経験は4年ほど。毎年、友人や会社の先輩・後輩と楽しんでいます。真っ白な雪の中を滑り降りるのは爽快。普段の疲れも吹っ飛びます。

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